学校・教室 — 2026.08.24 MON NO.070 / TSUGINOTE LEARN

子どもの学校に、保護者と地域の人が入る会議が置かれています。全国で64.9%。
今年4月から、その会議が承認するものが一つ増えました

円形に並んだ椅子で年齢の異なる参加者が向かい合い、地域の集まりのように話し合っているイラスト

要点:会議の名前は学校運営協議会で、置かれた公立学校は22,009校・導入率64.9%です(令和7年5月1日現在、前年度から6.2ポイント増)。ただし、似た名前の地域学校協働本部とそろっている学校は17,481校・51.6%にとどまります。会議だけが13.4%、活動の体制だけが15.4%、どちらもない学校が19.7%です。そして令和8年4月から、この会議が承認する「基本的な方針」に、教員の業務量の管理と健康確保措置が加わりました。11月14日には京都で全国大会があり、保護者・地域住民も対象で参加費は無料、申込みは11月9日までです。

今日のねらいは一つです。子どもが通う学校に置かれた「学校運営協議会」と、その外側にある「地域学校協働本部」を、別のものとして区別できるようにします。名前が似ているうえに、国の資料では必ず並べて書かれるので、混ざりやすいところです。

先に骨だけ板書します。協議会は「会議」、協働本部は「活動の体制」です。そして片方しかない学校が、全国に9,740校あります。

会議のほうから確かめます

学校運営協議会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第47条の5にもとづく合議制の機関です。委員を任命するのは教育委員会で、対象になるのは、その学校がある地域の住民、在籍する子どもの保護者、地域学校協働活動推進員などです。平成29年3月の法改正で、設置は努力義務になりました。置かなければならない、ではなく、置くように努めなければならない、という書き方です。ここ、大事です。導入率が100%にならない理由の半分は、この一語にあります。

権限は三つ挙げられています。校長がつくる学校運営の基本的な方針を承認すること。学校運営について教育委員会または校長に意見を述べること。教職員の任用について、教育委員会規則に定める事項について教育委員会に意見を述べること。承認という語が入っているのが、学校評議員などの似た仕組みとの分かれ目です。意見を言うだけの会議ではありません。

活動のほうは、組織でなくてもよいことになっています

地域学校協働本部は、社会教育法第5条第2項に規定された地域学校協働活動を進めるための体制です。国の説明は「緩やかなネットワーク」で、学校ごとに組織化されていなくてもよく、会議体も事務室もなくてよいと明記されています。では何をもって「整備されている」と数えるのか。三つの要素が示されています。コーディネート機能があること、多様な活動が行われていること、その活動が継続的・安定的であること。

並べると差が見えます。協議会は置くもの、協働本部は回っているものです。だから片方の有無が、もう片方を保証しません。ここが今日の記事のいちばん短い答えです。


では、数を見ます

文部科学省の「令和7年度コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査」は、令和7年5月1日現在の公立学校33,910校を母数にしています。とりまとめは令和7年11月7日、これを踏まえた通知が令和8年3月3日に出ています。四つに分けた表がいちばん分かりやすいので、そのまま写します。

状況学校数割合
会議と活動の体制の両方がある17,481校51.6%
会議だけがある4,528校13.4%
活動の体制だけがある5,212校15.4%
どちらもない6,689校19.7%

導入率64.9%という数字だけを見ると、三校に二校は進んでいるように読めます。しかし内訳に入ると、会議と活動がそろっているのは二校に一校でした。片方だけの9,740校は、会議はあるが動かす人がいない学校か、動いているが決める場がない学校か、どちらかです。

学校の種類で、向きが逆になります

ここが読み取りの山です。校種別に二つの数字を並べると、足りていないものが入れ替わります。

校種協議会の導入率協働本部の整備率
小学校71.8%78.8%
中学校70.8%74.5%
義務教育学校81.1%84.6%
高等学校43.5%22.2%
特別支援学校55.9%24.5%
幼稚園18.6%27.2%

高等学校は、会議が43.5%に対して活動の体制が22.2%です。決める場のほうが先に置かれ、動かす受け皿が半分しか追いついていません。特別支援学校も同じ向きで、差はもっと大きく開いています。逆に幼稚園は、会議が18.6%で活動の体制が27.2%です。動いてはいるが、決める場がない。同じ「連携が進んでいない」という言葉でも、次に足すものが真逆になります。

令和8年3月3日の通知は、幼稚園で約19%、高等学校で約44%、特別支援学校で約56%という数字を挙げて、学校種を越えて一体的に運営することも考えられる、と書いています。高校が単独で地域と組むのが難しいなら、中学校区の仕組みに乗る手がある、という含みだと読めます。

今年4月に、承認するものが一つ増えました

冒頭で伏せたのは、これです。令和7年6月に公布された給特法等の一部改正法(令和7年法律第68号)によって、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5第4項が改正されました。協議会が承認する「学校運営に関する基本的な方針」に、教育職員の業務量の管理と健康確保措置の実施に関する内容を含めることとされたのです。施行は令和8年4月です。すでに動いています。

言い換えます。保護者と地域住民が委員として、先生の働き方の方針を承認する側に回りました。通知は、働き方改革を進めるには保護者や地域住民の理解を得たうえで協力が得られる体制をつくることが重要だとして、基本的な方針を協議会で議論する際に、業務の役割分担や必要な支援について調整を行うことなどが求められる、と書いています。

協議事項の例として通知が並べた14項目のなかには、部活動の地域展開等に関することも入っています。休日の部活動が17.5%まで地域クラブへ移ったという数字と、この協議会の話は、同じ机の上でつながります。誰が引き受けるのかを決める場所が、制度の上ではもう用意されているということです。

「類似の仕組み」が3,990校あります

調査にはもう一つ、見落としやすい欄があります。法律にもとづく学校運営協議会ではないものの、教育委員会や学校の要綱で置かれ、保護者と地域住民が学校運営について協議して意見を述べる会議体です。調査ではこれを「類似の仕組み」と呼び、3,990校・11.8%と数えています。前年度から109校減りました。どちらも置いていない学校は23.3%です。

国は、法律にもとづくものへ移すことを検討せよという立場です。理由として挙げられているのが二点あります。委員が法律にもとづいて教育委員会から任命され、特別職の非常勤地方公務員の身分を持つこと(地方公務員法第3条第3項第2号)。そして先の三つの権限を法律で持つこと。前者には報酬の話がついていて、地方自治法第203条の2により報酬を支給しなければならず、国はそれに対して地方財政措置を行っている、と通知は書いています。無償のボランティアとして頼む形と、報酬のある特別職として任命する形は、責任の置きかたが違うという整理です。

置いたあとに何が起きているか

ここは数字ではなく、通知の文章のほうを読みます。教育委員会の取組についての調査結果から、教職員・協議会委員・地域学校協働活動推進員を対象とした研修会や説明会の継続的な実施が40%に満たないことが明らかになった、とあります。続けて、開催が年3回以下で、定例的に校長からの説明を受けるだけの内容になっているなど、協議会が形式的なものになっているのではないかという指摘もある、と書かれています。所管する省の通知に、この書き方が載るのは強い表現です。

つなぎ役の数も見ておきます。地域学校協働活動推進員等は全国で35,246人(前年度から633人増)。このうち社会教育法にもとづいて教育委員会が正式に委嘱している者は15,505人で、委嘱している自治体は865・47.7%です。地域の学びを支える人材という点では社会教育士と重なる領域ですが、資格と委嘱は別の制度です。そして推進員等のうち学校運営協議会の委員でもある者が15,174人、前年度から1,591人増えました。通知が想定している形は、推進員を協議会委員に任命することです。会議と活動をつなぐ蝶番は、制度ではなく人のほうに置かれています。


入る側にとっての窓は、11月14日です

実務の話に戻します。文部科学省は2026年8月21日、「全国コミュニティ・スクール研究大会 in 京都/地域とともにある学校づくり推進フォーラム2026 京都」の開催を発表しました。全国コミュニティ・スクール連絡協議会と京都市教育委員会との共催です。

項目内容
日時令和8年11月14日(土)10時00分〜16時00分
会場国立京都国際会館(京都市左京区岩倉大鷺町422)/オンライン配信あり
対象学校関係者、保護者、地域住民等
参加費無料
申込期限2026年11月9日

テーマは「学校をひらく。共創の場へ。」で、発表文には、コミュニティ・スクールの次なるステージである「学校をひらいた、その先」を展望する、と書かれています。導入率が三校に二校まで来た年に、国が議題に置いたのは導入の数ではありませんでした。置いたあとをどうするか、です。

保護者や地域住民が対象に明記されていて、参加費が無料で、オンラインでも見られます。委員をしている方、これから頼まれそうな方、あるいは自分の学校に協議会があるのか知らない方にとって、年に一度の分かりやすい入口だと思います。

この記事で分からなかったこと

三つ書いておきます。第一に、令和8年5月1日現在の数字は、まだ公表されていません。使えるのは令和7年5月1日現在のもので、1年3か月前の姿です。第二に、都道府県別・自治体別の内訳は公表されていますが、この記事では確かめていません。通知は「地域間で差が生じており、導入率が未だ低くなっている地方自治体が見られる」と書くだけで、具体的な地域名や数値を挙げていないので、自分の住む市区町村を知りたい場合は自治体別の資料に当たる必要があります。第三に、4月に施行された働き方の方針の承認が、実際の協議でどう扱われているかを示す調査結果は、まだ出ていません。施行から4か月です。

それから、私立学校はこの調査の対象外です。母数は公立学校33,910校で、幼稚園型認定こども園を含む公立幼稚園までが入っています。

復習の1問

では、今日の1問です。「学校運営協議会が置かれている学校では、地域と一緒の活動も行われていますか」——限りません。会議だけがある学校が4,528校・13.4%あります。二つは別の仕組みで、片方が置かれたことは、もう片方を保証しません。ご自分の学校を確かめるなら、まず学校だより等に「学校運営協議会」の記載があるかを見て、無ければ市区町村の教育委員会に一件だけ電話をするのが早いです。名前が「学校評議員」だった場合は、法律にもとづく協議会ではなく、先の3,990校のほうに入っている可能性があります。

出典:文部科学省「令和7年度コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査(ポイント)」および「同調査の結果(概要)」(調査基準日 令和7年5月1日/とりまとめ 令和7年11月7日/母数は公立学校33,910校)、同「令和7年度コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査結果を踏まえた対応等について(通知)」(令和8年3月3日・7文科教第1783号・総合教育政策局長)、いずれも文部科学省「学校と地域でつくる学びの未来」(https://manabi-mirai.mext.go.jp/document/chosa/2025.html )に掲載。文部科学省「『全国コミュニティ・スクール研究大会 in 京都/地域とともにある学校づくり推進フォーラム2026 京都』を開催します」(令和8年8月21日・https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01674.html )。法令の条文と権限は同省「『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』(第47条の5)条文解説」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/suishin/detail/1313081.htm )。いずれも2026年8月24日に確認。数値・要件・日程は変更される場合があるため、参加や手続きの際は各一次情報で確認してください。
EDITOR'S NOTE — サトス:数字を読み替えると、見え方が一段変わる題材でした。64.9%は「進んだ」と読める数字です。51.6%は「まだ半分」と読める数字です。どちらも同じ調査の同じ年のもので、違うのは何を一組と数えるかだけです。私が引っかかったのは、通知に「定例的に学校長からの説明を受けるだけの内容となっている」と書かれていたところでした。置くことは制度で決められますが、机で何を話すかは決められません。今年4月から、その机に先生の働き方が載りました。承認という語の重さが、少し変わったのだと思います。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.24
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。