三段櫂船。
三段櫂船(さんだんかいせん/トリエレス)とは、櫂の漕ぎ手を三段に配置した古代地中海の軍船。船首に取り付けた衝角(しょうかく)で敵船の舷側を突くことを主な戦法とし、そのために速力と旋回性が重んじられた。
帆も備えていましたが、戦闘のあいだは櫂で動きます。舷側から突き出す櫂を三段に重ねることで、船体を長くしすぎずに漕ぎ手の数を増やす設計になっています。武器は積み荷ではなく船そのもので、船体の速さと角度が勝敗に直結しました。
船を持つことは、人を組織すること
この軍船は多数の漕ぎ手を必要とします。ポリスにとっては、船を並べることと、漕ぎ手を集めて訓練し続けることが同じ一つの課題になりました。アテナイでは、重装歩兵の装備を自弁できない層が漕ぎ手として戦力になっており、艦隊の拡張が市民のあり方にも関わったと論じられます。
アテナイの艦隊とサラミス
前483年ごろ、アッティカ南部のラウレイオン鉱山で銀の豊かな鉱脈が見つかりました。テミストクレスはこの収入を市民に分配せず、軍船の建造にあてる案を通したと伝わります。建造数はヘロドトスが200隻、アリストテレスの名で伝わる『アテナイ人の国制』が100隻とし、一致していません。この艦隊が前480年のサラミスの海戦で主力となりました。
補足:船体の寸法・漕ぎ手の人数・段の配置の細部には復元研究の幅がある。数値は最新の研究と一次史料での確認を推奨する。