用語辞典 — ツギノテ。LEARNGLOSSARY

デルフォイの神託

デルフォイの神託とは、古代ギリシアのデルフォイにあるアポロン神殿で受けられた託宣。ポリスや個人が、植民・戦争・祭祀といった重要な決定の前に伺いを立て、巫女ピュティアを通して与えられた答えを持ち帰った。

託宣の言葉は、一通りにしか読めない形で与えられるとは限りませんでした。そのため、持ち帰った側が「何を指しているのか」を決める段階が必ず挟まります。神託をめぐる古代の記述の多くは、答えそのものより、その解釈をめぐる議論として書かれています。

「木の壁」の一節

よく知られる例が、前480年のアテナイの伺いです。ヘロドトスが伝える答えには、木の壁だけが破られずに残る、という一節が含まれていました。これをアクロポリスを囲う柵と読む人々と、船を指すと読む人々に分かれます。テミストクレスは、同じ託宣がサラミスを「神なる」と呼んでいる点を挙げ、滅びるのは敵の側だと論じたと伝わります。

解釈が分けたもの

ヘロドトスの記述では、柵と読んだ人々はアクロポリスに立てこもり、そこで命を落としました。船と読んだ人々はサラミスの海戦へ向かいます。神託が当たったというより、一つの文言を一つの行動に決めなければならない場面があった、という筋で読まれることが多い挿話です。

補足:神託の文言はヘロドトスによる伝承であり、実際の託宣の形や巫女による託宣の実態については研究に幅がある。細部は一次史料と最新の研究での確認を推奨する。