指定試験機関。
指定試験機関とは、法律にもとづく国家試験の実施事務を、所管する大臣が指定して行わせる法人。中小企業診断士試験は中小企業支援法第12条にもとづく国家試験で、その試験事務は経済産業大臣が指定した一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会が担っている。中小企業庁が毎年公表する試験の告知にも、「試験の実施に関する事務を行う機関」として同連合会の名が明記される。
国家試験と聞くと、国の役所が会場を借りて問題を配っている姿を思い浮かべるかもしれません。実際にはそうでない試験が多くあります。制度の枠組みと受験資格、合格の効力は法令が定め、当日の運営や申込の受付、採点や合格発表といった事務は、指定された民間の法人が引き受ける。この分業のかたちを支えているのが指定試験機関の仕組みです。
受験手数料は、どこへ行くのか
読み落とされやすいのは、お金の流れです。受験手数料は税金ではなく、指定試験機関が試験を運営するための会計に入ります。ですから、会場費や人件費が上がれば、その会計は直接に痛みます。逆に工程を一つ減らせば、そのぶん費用は軽くなります。
この関係が表に出た例が、令和8年度からの中小企業診断士試験の改正です。中小企業庁は、新型コロナウイルス感染症対策や令和5年度台風6号にともなう第1次試験の再試験といった臨時的経費に加え、人件費や会場費の高騰といった経常的経費の増加により、指定試験機関である同連合会の財政状況(試験会計)が悪化していると説明しました。そのうえで、第2次試験の口述試験を廃止して経費を削減し、受験手数料の総額は維持しつつ第1次・第2次の配分を改めています(第1次14,500円→17,200円、第2次17,800円→15,100円)。
受験する側にとっての意味
試験の日程や手数料は、出題方針とは別の理由でも動きます。指定試験機関の会計、会場の確保、要員の手配。そうした運営側の事情が、受験する人のカレンダーと財布に届いてきます。「なぜ今年から変わったのか」を知りたいときは、試験内容の解説より先に、所管官庁の告知と指定試験機関の公表資料を読むほうが早いことが多いはずです。
補足:ここで述べたのは中小企業診断士試験を例とした説明です。指定試験機関の仕組みは試験ごとに根拠法令が異なり、名称や権限の範囲も同じではありません。受験にあたっては、その試験の所管官庁と実施機関の一次情報を確認してください。関連:中小企業診断士の2次試験、申込は9月1日から18日間。口述廃止で早まったのは、最終合格発表の22日でした