スキタイ。
スキタイ(scythians)とは、紀元前1千年紀にユーラシアの草原で活動した騎馬遊牧民の総称。呼び名はギリシャ語の記録に由来し、彼ら自身の言葉ではない。
黒海の北岸からアルタイにかけての広い範囲が「スキタイ」と呼ばれてきましたが、その範囲は資料によって大きく異なります。単一の国家や民族ではなく、似た暮らしと文物を持つ複数の集団を、外から一語でまとめた呼び方と考えたほうが実態に近いとされます。
自前の文字記録がない
彼らが書いた文書は残っていません。そのため歴史は、三つの他者の記録から組み立てられます。ひとつはギリシャ語の文献で、なかでもヘロドトス『歴史』第4巻が中心。ひとつはクルガン(墳丘墓)の出土品。そしてもうひとつが、近年加わった古代ゲノム研究です。
ゲノムが示した「複数性」
2021年に Science Advances に掲載された研究は、中央アジア草原の39遺跡・111人分のゲノム規模データを分析し、鉄器時代にアルタイ周辺とウラル周辺で二つの主要な遺伝的まとまりが別々に現れたことを示しました。「スキタイ」を一つの民族名として使うと実態から離れる、という指摘につながっています。
補足:範囲・年代・集団の区分は研究によって差がある。文献の記述と考古学の所見が一致しない点も多いため、細部は最新の研究での確認を推奨する。