用語辞典 — ツギノテ。LEARNGLOSSARY

ヴィンランド

ヴィンランド(Vinland)とは、中世北欧のサガが伝える、グリーンランドより西にある北アメリカ側の地域名です。特定の町や国の名前ではなく、ニューファンドランド島からセントローレンス湾周辺を含みうる地域として考えられています。

ヴィンランドの意味

名前の意味には大きく二つの解釈があります。一つは、サガに出てくる野生のぶどうに結びつけた「ワインの地」。もう一つは、古ノルド語の語形から読む「草地・牧草地」です。カナダ公園局も現在、英語で land of wine または land of grass と両説を紹介しています。そのため「ヴィンランド=ぶどうの地」と一つに断定するより、二つの有力な読み方があると理解するのが正確です。

どこにあったのか

『赤毛のエイリークのサガ』と『グリーンランド人のサガ』では、グリーンランドの西に三つの土地が語られます。岩の平地を意味する「ヘルランド」、森の地を意味する「マルクランド」、そしてヴィンランドです。現在はヘルランドをバフィン島、マルクランドをラブラドル、ヴィンランドをニューファンドランド島とセントローレンス湾周辺に対応させる見方がありますが、境界やサガとの一対一の対応は確定していません。

ランス・オ・メドー遺跡との違い

ニューファンドランド島北端の「ランス・オ・メドー」は、北欧人が北アメリカで活動したことを示す考古遺跡です。木材の年輪と西暦993年の宇宙線イベントを手がかりにした研究では、北欧人が西暦1021年に現地で木を加工していたことが示されました。ただし、この遺跡はヴィンランド地域を探索する拠点だった可能性が高い一方、遺跡そのものがサガに描かれたヴィンランドの全体だと確定したわけではありません。

「ヴィンランド・サガ」とは

歴史研究でいう「ヴィンランド・サガ」は、北アメリカへの航海を語る『赤毛のエイリークのサガ』と『グリーンランド人のサガ』の総称です。幸村誠さんの漫画『ヴィンランド・サガ』の題名も、この歴史上の地名を受けています。検索で作品名を見かけた場合も、もとのヴィンランドは物語上・歴史上の地域名です。

出典:カナダ公園局「L’Anse aux Meadows: The Saga of Vinland」(名称の二つの解釈と推定地域)/Kuitemsほか「Evidence for European presence in the Americas in AD 1021」Nature 601, 2022(1021年の活動年代)。サガは後代に書かれた物語資料であり、地名と現在地の対応には未確定部分があります。