字体。
字体(じたい)とは、文字を文字として成り立たせている骨組みのことです。同じ文字としてみなすことができる無数の字の形、そのそれぞれから抜き出せる、形の上での共通した特徴とも言えます。
書かれた文字や印刷された文字が社会に通用するかどうかは、その文字にその文字としての字体が認められるかで決まります。細部に違いがあっても、字体の枠組みから外れていなければ、その文字として認められます。
字形・字種・書体との違い
混同されやすい語が三つあります。字形は、字体が具現化されて実際に表された一つ一つの形です。手書きされた文字の数だけ、印刷文字の種類だけ存在します。字種は、同じ読み方・同じ意味で使われる漢字の集まりで、「桜/櫻」「学/學」「竜/龍」「島/嶋/嶌」はそれぞれ同じ字種です。書体は形に関する様式の体系で、明朝体・ゴシック体・教科書体、歴史的には篆書・隷書・草書・行書・楷書などがこれにあたります。
この四つを分けておくと、「同じ字なのに形が違う」という現象を、正誤の問題ではなく層の違いとして扱えます。
「とめ・はね」が正誤を決めない理由
文化審議会国語分科会は平成28年(2016年)2月29日、報告「常用漢字表の字体・字形に関する指針」をまとめました。常用漢字2,136字すべてについて、印刷文字と手書き文字のばらつきを例示した資料です。その概要は、考え方をこう整理しています。手書き文字と印刷文字の表し方には習慣の違いがあり、一方だけが正しいのではない。字の細部に違いがあっても、その漢字の骨組みが同じであれば、誤っているとはみなされない。
この考え方は昭和24年の「当用漢字字体表」以来のもので、平成22年内閣告示第2号の常用漢字表も引き継いでいます。指針が作られたのは考え方が変わったからではなく、細部で正誤が決められる傾向が生じていたためです。
補足:用語の定義と考え方の記述は、文化庁「『常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)』の概要」(文化審議会国語分科会、平成28年2月29日)による。関連:『木』の縦画は、はねても正しい。国はその答えを、2,136字ぶん出していました