カタルーニャ地図帳。
カタルーニャ地図帳(Catalan Atlas)とは、1375年ごろにマヨルカ島で作られた海図帳。西アフリカを詳しく描いたヨーロッパ側の初期の地図として知られ、マンサ・ムーサが金塊を手に玉座へ座る姿が描かれている。
作者はアブラハム・クレスケスとされますが、この帰属には確定していない部分があります。羅針図と航路線を引いた海図の様式に、内陸の都市・支配者・交易品についての説明を書き添えた構成をとっており、航海のための道具であると同時に、当時のヨーロッパが世界をどう理解していたかの記録にもなっています。
西アフリカの一場面
地図の西アフリカにあたる部分には、王冠をかぶり、片手に大きな金の塊、もう一方に笏を持つ人物が玉座に描かれ、ラクダに乗った人物がそちらへ向かっています。添えられた説明は、この王はムセ・メリ(マンサ・ムーサ)といい、その領地に見出される金の量の多さゆえに、この地域全体でもっとも豊かで際立った支配者である、という内容です。
なぜ注目されるか
中世ヨーロッパの地図でアフリカは余白に置かれることが多く、この図のようにアフリカを経済の中心として描いた例は目を引きます。同時に、ムーサの死からおよそ四十年後に、アフリカへ渡っていない作り手が描いたものでもあります。「豊かな王」という評価の古い層を示す資料であって、財の規模を測った記録ではありません。
補足:制作年・作者の帰属・現存する写本の構成については研究に幅がある。細部は所蔵機関(フランス国立図書館)と最新の研究での確認を推奨する。