資格・検定 — 2026.08.06 NO.042 / TSUGINOTE LEARN

日本語教員試験の出願は8月21日まで。免除される人ほど、いま急ぐ理由があります

地域の図書館のような場所で、年齢の異なる大人たちが本や資料を手に学んでいる様子を描いたイラスト

要点:令和8年度日本語教員試験の試験日は2026年11月8日(日)ですが、出願期間は7月13日から8月21日(金)までです。この記事を公開している8月6日から数えると、残り15日。年齢・学歴・国籍の条件は不問で、誰でも出願できます。そして、この試験には「試験を一問も解かない人が出願する」枠があります。経過措置で試験が免除される人たちです。免除されるのに出願がいる。しかも一部のルートでは、出願の時点までに済ませておかなければならない手続きがあります。ですから、免除される側のほうが締切に近い、という逆の形になっています。

資格試験の記事は、たいてい試験日から書き始めます。ところがこの試験については、試験日から書くと大事なところを外します。試験日は11月8日で、まだ三か月あります。しかし出願の窓は8月21日の金曜日に閉じます。年に一度の試験ですから、ここを逃すと次は一年後です。

そして、この試験の構造には、他の国家資格ではあまり見ない特徴があります。順に見ていきます。

免除されても、出願はする

登録日本語教員という資格は、2023年(令和5年)の法律に基づいて始まりました。認定日本語教育機関で日本語教育課程を担当するために必要な資格です。制度が新しいので、それまで日本語を教えてきた人が一斉に無資格になっては困る。そこで、条件に応じて試験や実践研修を免除する経過措置が置かれています。ルートはC、D-1、D-2、E-1、E-2、Fの6つです。

ここで、文部科学省の案内が念を押している一文があります。

ただし、試験の免除対象者であっても試験に出願し、免除資格の確認を経た上で合格証書を入手しなければ登録日本語教員になることはできません。また、基礎試験の合格または免除を得なければ、応用試験に合格することはできません。

免除は「受けなくてよい」であって「出さなくてよい」ではない、ということです。基礎試験・応用試験の双方が免除される人も、出願し、免除資格の確認を受け、合格証書を受け取る。そのための手数料も設定されています(5,900円)。試験会場に行く予定がまったくない人にも、8月21日という締切が同じようにかかっています。

さらに、案内には次の注記があります。経過措置のD-1、D-2、E-1、E-2の各ルートで出願する人は、出願の時点で経過措置のための講習をあらかじめ修了し、他の出願書類とともに修了証を提出する必要がある、と。講習は講習Ⅰと講習Ⅱで構成されています。つまりこれらのルートでは、締切までに「出願する」だけでなく「講習を終えて修了証を手にしている」ところまで到達していなければなりません。私が今日いちばん先にお伝えしたかったのは、この一点です。

現職者としての要件にも、出願時点を基準にする書き方があります。D-1・D-2・E-1・E-2・Fルートについて、平成31年4月以降に告示校等で日本語教育課程を担当した経験が、出願時点で1年以上必要とされています。経験年数の数え方が試験日ではなく出願日で締まる、ということです。

三つの日付と、十三の会場

全体の日程を並べておきます。

項目日付
出願期間令和8年7月13日(月)〜8月21日(金)
試験日令和8年11月8日(日)
結果通知令和8年12月18日(予定)

会場は8地域に置かれます。北海道は北海道教育大学(札幌校)、東北は東北工業大学(八木山キャンパス)。関東はやや多く、大妻女子大学(千代田キャンパス)、日本大学(文理学部)、電気通信大学、一橋大学(国立キャンパス)、東京海洋大学(品川キャンパス)、横浜国立大学の6会場。中部は愛知学院大学(日進キャンパス)、近畿は桃山学院大学、中四国は岡山大学(津島キャンパス)、九州は九州産業大学、沖縄は沖縄キリスト教学院大学・短期大学です。いずれも予定であり、都合により一部変更になる可能性があると但し書きが付いています。

受験料は三段になっています。基礎試験と応用試験の両方を受ける通常の場合が18,900円。基礎試験の免除を受ける場合は、免除資格の確認と応用試験の受験料で17,300円。双方の免除を受ける場合は確認手数料の5,900円。いずれも合格証書の発行手数料を含む額とされています。

試験そのものの形は、要項に書いてある

令和8年度の実施要項は、令和8年2月6日付で総合教育政策局長決定として公表されています。分量は多くありませんが、必要なことは書かれています。

まず受験資格。年齢、学歴、国籍等の条件は不問です。大学を出ていなくても、実務経験がなくても、出願できます。

構成は二段です。基礎試験が120分・100問・選択式で、1問1点の計100点。応用試験は読解100分で60問、休憩をはさんで聴解が50分程度で50問、あわせて計110点。こちらも1問1点の選択式です。出題は「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の養成課程コアカリキュラムにおける必須の教育内容から出されます。

合格基準は、二つの試験で性格が違います。基礎試験は必須の教育内容で定められた5区分において各区分で6割程度の得点があり、かつ総合得点で8割程度。応用試験は総合得点で6割程度です。基礎のほうが数字としては高い。しかも区分ごとの下限が別に置かれているので、得意な区分で埋め合わせる戦い方が効きにくい作りになっています。なお、年度ごとの難易差等により合格基準の調整を行うことがある、とも明記されています。


去年の合格率を、そのまま自分の確率だと思わない

令和7年度の結果は、令和7年12月12日に公表されています。受験者17,597人、合格者11,876人、合格率67.5%。前年度は受験者17,655人、合格者11,051人、合格率62.6%でした。二年続けて受験者は1万7千人台で、合格率は5ポイントほど上がっています。

ただ、この数字の読み方には注意が要ります。公表資料の注記に、こうあります。「合格者」には経過措置による全試験免除者を含む、と。つまり67.5%という数字は、試験を解いて基準点に届いた人の割合ではありません。免除で合格証書を得た人が分子に入っています。免除者が何人いたかは、この公表資料の本文には示されていません。ですから、これから試験ルートで受ける人が「三人に二人が受かるのだから」と考えるのは、少し楽観に寄りすぎだと私は思います。

同じ注記には、もう一つ厳しい条件も書かれています。経過措置による試験免除者のうち、出願時点で課程修了等が「見込」だった人については、要件を満たすことを証する書類が期日までに提出された人に合格証書を交付する。令和7年度の場合は令和8年4月30日が期日で、その日までに提出がなかった場合、合格は無効とされています。一度出た合格が、書類の未提出で消える。制度の文書としては、かなりはっきりした書き方です。

今年から変わる、小さなこと

令和8年度からの変更として、案内に一行だけ書かれているものがあります。旧姓による出願を受け付ける予定、というものです。分量としては一行ですが、資格の名義と職場で使っている名前が違う人にとっては、実務上の意味がある変更だと思います。

もう一つ、経過措置のC・D-1・D-2ルートで学位要件を使う人のうち、中国で学位を取得した方は、中国高等教育学生信息網が発行する証明書を別途提出する必要があるという案内も出ています。この試験は国籍を問わないので、海外で学位を取った人が一定数いることを前提にした注記でしょう。該当する場合、証明書の取得に日数がかかる可能性は考えておいたほうがよさそうです。


次の一歩

今日お願いしたいのは、一つだけです。自分がどのルートに該当するかを、今日のうちに判定してください。

文部科学省の「登録日本語教員の資格取得ルートに関する要件について(経過措置期間)」というページに、要件をまとめたPDFが置かれています(令和8年5月15日に一部修正)。また「登録日本語教員の登録申請の手引き」の参考資料1に経過措置ルート判定ガイドがあります。まずここで、自分が試験ルートなのか、養成機関ルートなのか、経過措置のC〜Fのどれかなのかを確かめる。複数のルートに該当する場合は、どれを使うかを自分で選ぶことになっています。

判定の結果がD-1、D-2、E-1、E-2のいずれかだった人は、そこで止まらずにもう一歩進んでください。講習Ⅰ・講習Ⅱを修了しているか。修了証は手元にあるか。 出願時に他の書類と一緒に出す必要があります。まだであれば、締切までの日数と講習に要する期間を突き合わせるところから始まります。

試験ルートで受ける方は、出願を先に済ませてしまうほうが良いと思います。会場は出願時に選ぶ形ですし、勉強は出願後にいくらでもできますが、出願は8月21日を過ぎるとできません。順序を逆にしない、という単純な話です。

最後に一つ、正直に書いておきます。この記事に並べた日付・金額・会場は、文部科学省が「予定であり、都合により一部変更になる可能性があります」と明記しているものです。申込受付等の詳細は、日本語教員試験システムに掲載される試験案内が正本になります。ご自身の該当ルートと必要書類は、必ずそちらで確認してください。私が申し上げられるのは、確認を始める日は今日でも早すぎないということだけです。

出典:文部科学省「日本語教員試験に関すること」(令和8年度日本語教員試験の概要・試験日・出願期間・受験料・試験会場・経過措置に関する注記/mext.go.jp)/同「令和8年度日本語教員試験実施要項」(令和8年2月6日 総合教育政策局長決定・PDF/mext.go.jp)/同「令和7年度日本語教員試験実施結果をお知らせします」(令和7年12月12日報道発表/mext.go.jp)/同「登録日本語教員の資格取得ルートに関する要件について(経過措置期間)」(令和8年5月15日一部修正/mext.go.jp)/日本語教員試験システム(nihongokyouinshiken.mext.go.jp)。日程・受験料・会場はいずれも文部科学省が「予定であり、都合により一部変更になる可能性があります」としているものです。出願方法や必要書類の詳細は、日本語教員試験システムに掲載される試験案内が正本となります。本稿は制度の紹介であり、個別の出願可否や免除の該当判断を保証するものではありません。ご自身の該当ルートは一次情報と試験実施主体への確認をお願いします。
EDITOR'S NOTE — サトス:資格の記事を書くとき、私はいつも合格率の欄で手が止まります。今回もそうでした。67.5%という数字は、注記まで読まないと意味が変わってしまう種類の数字です。注記は本文より小さな文字で置かれ、たいてい読み飛ばされます。それでも書いてある。書いてあるということは、書き手が「ここを誤解される」と分かっていたということです。制度の文書のいちばん誠実な部分は、案外そういう小さな行にあります。

編集責任者Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.08.06
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