用語辞典 — ツギノテ。LEARNGLOSSARY

絶対敬語

絶対敬語(ぜったいけいご)とは、人称や場面にかかわらず、特定の相手に対して常に一定の表現を用いる敬語法。学校で習う古典文法では、帝や上皇に申し上げる意の「奏す」と、中宮や皇太子に申し上げる意の「啓す」の二語を指して使われることが多い。

ふつうの敬語は、話し手と相手の関係によって使い分けが動きます。同じ人物でも、誰の目線から語るかで高く扱われたり扱われなかったりする。絶対敬語と呼ばれるものは、その揺れがありません。相手が語そのものに固定されています。

主語を絞る手がかりになる理由

古文は「誰が」を書かないことが多い文章です。そこで「奏す」が出てくれば、申し上げた相手は帝や上皇だと分かる。「啓す」であれば中宮や皇太子です。受け手が確定すれば、その場に居合わせた人物のうち誰が言ったのかも絞り込めます。敬語が装飾ではなく、人物関係の標識として働いている例です。

最高敬語(二重敬語)との違い

最高敬語は、尊敬の要素を重ねて最上位の人物への敬意を示す言い方で、示されるのは主に動作をする人の高さです。絶対敬語のほうは謙譲の表現で、定まっているのは動作を受ける相手のほうです。混同すると主語の見当が逆になるので、どちらの側が固定されているのかで区別します。

補足:ここでの説明は、学校文法で「絶対敬語」と呼ばれる用法を中心に整理したものである。日本語学における同語の定義はより広く、上代の神や天皇に用いられた自尊敬語などを典型として扱う。用語の範囲が資料によって異なるため、辞書や文法書ごとの説明を照らし合わせるのが安全である。