用語辞典 — ツギノテ。LEARNGLOSSARY

インキュナブラ

インキュナブラ(incunabula)とは、活版印刷の初期、1501年より前にヨーロッパで印刷された本を指す言葉。ラテン語で「揺りかご・幼少期」を意味し、印刷術の「揺籃期本(ようらんきぼん)」と訳される。単数形はインキュナブルム。

ヨハネス・グーテンベルクがマインツで金属活字による量産印刷を実用化したのが1450年代半ば。そこから1500年の年末までに刷られた本を、まとめてこう呼びます。区切りとなる「1501年」に技術的な意味があるわけではなく、書物の歴史を整理するために後世が引いた便宜的な線です。

どんな本だったか

この時期の本は、まだ手写本(写字生が手で書き写した本)の見た目を強く残しています。活字で刷ったうえに、飾り文字や挿絵を手で描き加えたものも少なくありません。やがて、印刷者の名前・場所・刊行年を記した「奥付(コロフォン)」を備える本が現れます。1457年の「マインツ詩篇」は、その最初期の例として知られます。

数の広がり

インキュナブラとして残る版の種類は3万点前後とされます。印刷所はマインツからケルン・ヴェネツィア・パリなどヨーロッパ各地へ広がり、1500年までに250を超える都市に置かれていたと説明されます。ただし実際に刷られた総冊数の推計には、資料により数百万部から二千万部規模まで大きな幅があります。

補足:年代の区切りや点数・冊数の推計には諸説・幅がある。細部は最新の一次情報での確認を推奨する。