用語辞典 — ツギノテ。LEARNGLOSSARY

IRT(項目反応理論)

IRT(項目反応理論/Item Response Theory)とは、問題(項目)ごとの難しさなどをあらかじめ数値化しておき、異なる問題を解いた受験者どうしでも共通のものさしの上で学力を比較できるようにする、統計的な測定理論。CBT(コンピュータ上の試験)や大規模試験のスコア算出で広く使われる。

紙の一斉試験では全員が同じ問題を解くため、「何問正解したか」で比べられます。しかしコンピュータ上の試験では、受験者ごとに出題される問題が異なる場合があります。そこでIRTは、事前の調査データから問題ごとに「難しさ」や「学力差の見分けやすさ」といった性質を推定しておき、誰がどの問題に正解したかという情報から、受験者の学力を共通の尺度上のスコアとして推定します。体重計の機種が違っても「キログラム」に直せば比べられる、という発想に近い仕組みです。

利点

最大の利点は、異なる試験回・異なる問題セットの結果を比較できることです。TOEICや英検などのスコアが回をまたいで比べられるのも、この種の統計的な設計によるものと説明されています。日本の全国学力・学習状況調査でも、CBT化にあわせて中学校理科や英語の結果がIRTに基づくスコアと分布で公表されるようになりました。一回ごとの点数ではなく、時間をおいた「位置の変化」を追えることは、学び直しの進捗を測るうえでも相性のよい性質です。

注意

一方で、IRTスコアは「基準となる集団の中での位置」を示す相対的な数字であり、絶対的な合格点や到達度がそのまま読み取れるわけではありません。スコアの意味は尺度の設計に依存するため、異なる試験のスコアどうし(たとえば別団体の試験)を直接比べることはできません。数字を受け取ったときは、「どの集団を基準に」「どんな設計で」算出されたスコアなのかをあわせて確認する姿勢が大切です。

補足:スコアの尺度や算出方法は実施団体・試験ごとに異なる。詳細は各試験の公表資料での確認を推奨。