鷲章旗。
鷲章旗(アクィラ/aquila)とは、古代ローマの各軍団が1本だけ持った、鷲をかたどった標章。担い手はアクィリフェル(鷲章旗手)と呼ばれた。
軍団には隊ごとの標章がいくつもありましたが、鷲章旗は軍団に一つだけです。そのため、この一本が軍団そのものを指す記号として扱われました。敵に奪われることは最大の不名誉とされ、逆に取り戻すことは軍事的というより政治的な成果として数えられます。
失われた鷲章旗
前17年から前16年の冬、ガリア・ベルギカ総督ルキウス・ロッリウスがスガンブリ族に敗れ、第5軍団アラウダエが鷲章旗を失いました。この出来事は、アウグストゥスがライン方面の再編に乗り出す背景の一つに数えられています。
より大きく知られるのは西暦9年です。トイトブルクの敗戦で第17・第18・第19軍団が壊滅し、三本の鷲章旗が失われました。うち第19軍団のものは15年、ゲルマニクスの遠征中にルキウス・ステルティニウス配下の兵が上エムス川流域のブルクテリ族の領域で取り戻しています。
補足:標章の形状・材質・扱いは時代によって変化しており、個々の鷲章旗がいつどこで失われ、いつ回収されたかについては史料の記述に幅がある。細部は一次史料と最新の研究での確認を推奨する。