日本語教育の資格試験が、開始から40年近くで初めて形を変えます。
ただし、変わるのは、国家資格の試験ではありません。
要点:日本国際教育支援協会(JEES)が実施する日本語教育能力検定試験(1987年度開始の民間検定)が、令和8年度(2026年度)からCBT(コンピューターを使う)方式に全面移行します。初回実施は2026年12月1日(火)、申込みはオンラインで試験日の60日前から受け付けられ、初回の受付開始は2026年10月5日(月)です。受験料は17,000円から13,000円(いずれも税込)に下がり、試験会場はこれまでの全国7地区から47都道府県のテストセンターに広がります。試験構成も、記述式問題を含む計240分・3区分から、全問選択式の計約190分・2区分に組み替えられます。なお、この試験は国家資格「登録日本語教員」のための日本語教員試験とは別の試験で、今回の変更は登録日本語教員の制度そのものには影響しません。
日本語を教える仕事に関心を持ち、関連するニュースを検索していると、似た名前の試験が二つ出てきて戸惑うことがあります。一つは国が実施する試験、もう一つは民間の団体が長年続けてきた試験です。今回、CBT方式への全面移行という大きな変更を発表したのは、後者の日本語教育能力検定試験でした。
この記事ではっきりさせたいことは、二つあります。一つは、CBT化によって具体的に何が・いつ変わるのか。もう一つは、この試験がもう一つの「日本語教員試験」とどう違うのか、です。確かめ方は、JEESの公式サイトで見られる移行前の実施要項(私が2026年9月3日に直接確認したもの)と、CBT移行の実施要項発表を報じた記事とを、項目ごとに突き合わせるやり方をとりました。
二つの試験、名前が紛らわしいだけです
ここ、大事です。日本語教育能力検定試験は、日本国際教育支援協会(JEES)が1987年度から実施してきた民間の検定試験です。日本語教員となるために学習している人や、すでに日本語教育に携わっている人を対象に、日本語教育の実践につながる基礎的な知識と能力を測ることを目的としています。国家資格ではなく、この試験に合格しなくても日本語教師の仕事に就くことはできません。ただし、求人の応募条件に「合格していることが望ましい」と明記される場合が多く、実務上は評価材料の一つとして扱われています。
一方、以前の記事で取り上げた日本語教員試験は、まったく別の試験です。2023年(令和5年)の法律にもとづき、認定日本語教育機関で日本語教育課程を担当するための国家資格「登録日本語教員」を得るために、文部科学省が実施しています。CBT移行を報じた記事にも「日本語教育能力検定試験は日本語教員試験とは別の試験で、国家資格としての登録日本語教員のための試験ではない」という注記がわざわざ添えられていました。この一文が必要になるほど、混同されやすい二つなのだと思います。
変わることは4つ。まず1つ目は受験料です
ここから先は、CBT移行で変わる中身です。今回突き合わせて分かった変更点は、大きく4つありました。まず1つ目は、受験料です。これまでの17,000円(税込)から、13,000円(税込)に下がります。会場費や問題冊子の印刷費など、紙の一斉試験にかかっていた運営コストが不要になったことが理由とされています。
| 項目 | 移行前(令和6年度時点) | CBT移行後(令和8年度〜) |
|---|---|---|
| 受験料(税込) | 17,000円 | 13,000円 |
| 試験会場 | 全国7地区(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・九州) | 全国47都道府県のテストセンター |
| 受験日 | 年1回・10月の特定の日曜日に一斉実施 | 候補日の中から会場と日時を選択(通年実施) |
| 解答方式 | マークシート方式+記述式(400字程度の小論文) | 全問選択式(記述式は廃止) |
2つ目は会場です。これまでは全国7地区にしか試験会場が置かれておらず、地区内で会場を選ぶこともできませんでした。CBT化で全国47都道府県のテストセンターに広がり、前泊や長距離移動を理由に受験をあきらめていた人にとっては、負担が小さくなる変更です。3つ目は受験日そのものの仕組みで、年1回・特定の日曜日だけだった実施が、候補日の中から自分の都合のよい日時を選ぶ形に変わります。そして4つ目が、後で詳しく触れる試験構成の変更です。
申込はいつからか
CBT方式の試験は通年実施になりますが、初回の実施日は2026年12月1日(火)です。申込みはオンラインで、各試験日の60日前から受け付けられます。逆算すると、初回試験の受付開始は2026年10月5日(月)です。この記事を公開している9月3日から数えると、申込みが始まるまでおよそ1か月というところに立っています。
移行前の出願は年1回、7月1日から7月31日までのおよそ1か月間に限られていました。この窓を逃すと翌年まで待つしかない仕組みでした。CBT化後は試験自体が通年実施になるため、10月5日はあくまで「最初の回」の受付開始日であって、その後も試験日ごとに申込みの窓が開く形になります。一度きりの締切に身構える必要はなくなりますが、「まず最初の回がいつから申し込めるか」を知っておく意味は変わりません。
試験の中身は、どう組み替わったか
移行前の試験は、試験Ⅰ(90分・100点)、試験Ⅱ・聴解(30分・40点)、試験Ⅲ(120分・100点)の3区分、解答時間の合計は240分・配点合計240点でした。試験Ⅲの後半には400字程度の記述式の問題が含まれており、この記述式の採点は、マークシート方式の得点が上位60%に入った受験者だけを対象に行われていました。
| 区分 | 移行前 | CBT移行後 |
|---|---|---|
| 試験1 | 試験Ⅰ(90分・100点) | 試験1(90分・100点)※内容はほぼ同じとされる |
| 試験2 | 試験Ⅱ聴解(30分・40点)+試験Ⅲ(120分・100点、記述式を含む) | 試験2(約100分・80点)※統合・記述式は廃止 |
| 合計 | 240分・240点 | 約190分・180点 |
一度戻ります。旧・試験Ⅰと新・試験1は、時間も配点も測定内容もほぼ同じとされているので、実質的な変更はなさそうです。変わったのは、旧・試験Ⅱ(聴解)と試験Ⅲがまとめて「試験2」に統合された部分で、時間は短くなり配点も下がります。そして、記述式の問題そのものがなくなるため、「マークシートの得点で上位60%に入った人だけ記述式が採点される」という、これまでの独特な仕組み自体が消えることになります。試験の目的・水準・出題範囲そのものは変えない、というのが実施団体の説明です。
分からなかったこと
今回の突き合わせで埋められなかった点を、正直に二つ書いておきます。第一に、新設される「試験2」の出題内容の内訳(聴解と読解・応用的な設問がどの比重で出るか)は、今回あたった資料には具体的に書かれていませんでした。第二に、CBTは候補日から選んで受けられる分、「一度受けたあと、次の試験まで何日空ける必要があるか」という受験間隔のルールが気になるところですが、これも2026年8月以降に案内するとされていた続報を、9月3日時点では見つけられませんでした。どちらも、今後の公式案内を待つ必要があります。
もう一つ、数字の扱いにも注意が必要です。移行前の試験では、直近の合格率がおよそ30%台という情報がありますが、これは記述式を含む旧方式での結果です。試験構成が変わる以上、この数字をそのままCBT方式後の目安にするのは早計だと思います。
復習の1問
最後に一問だけ確認します。CBT方式への移行で、試験からなくなる出題形式は何ですか。
答えは、400字程度の記述式(小論文形式)の問題です。全問が選択式に変わります。国家資格の話ではなく、1987年度から続く民間検定の話。混同しないための一番の目印は、ここだったと思います。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.03
本記事はAI編集部が執筆しています。掲載の判断と内容の責任は編集責任者が負います。誤りを見つけられた場合はお問い合わせからご指摘ください。訂正の手順は訂正ポリシーに定めています。