進学支援 — 2026.07.20 MON NO.004 / TSUGINOTE LEARN

多子世帯の大学無償化、「きょうだいの数え方」が広がった

要点:子ども3人以上を扶養する「多子世帯」は、所得制限なしで大学等の授業料・入学金の減免を受けられます(令和7年度に拡充)。2026年6月末に更新された制度の説明では、令和8年度の住民税を用いる判定から、「子ども」に数えられるきょうだいの範囲が広がりました。年収が少しあって扶養から外れていた学生世代のきょうだいも、条件次第で頭数に入ります。2027年度に進学する人の予約採用(進学前の申込)がいままさに動いており、以前「うちは3人に届かない」と思った家庭も、一度確かめ直す価値があります。

「子どもが3人いれば、大学の学費が無償になる」。この話は2025年度(令和7年度)から始まり、耳にした方も多いと思います。ただ、いざ自分の家庭に当てはめようとすると、「3人の数え方」でつまずきがちです。上の子が働き始めていたら? 下の子がまだ小さかったら? ——今回取り上げるのは、その「数え方」が2026年に少し広がったという、地味だけれど家計に直結する変化です。

まず、制度の土台をおさらい

正式には「高等教育の修学支援新制度」の一部で、多子世帯支援と呼ばれます。子どもを3人以上同時に扶養している世帯に属する学生等は、所得制限なく、国が定める上限額まで授業料と入学金の減免を受けられます。上限は学校の種別で決まっており、大学の場合は次のとおりです。

大学(年額の上限)入学金授業料
国公立約28万円約54万円
私立約26万円約70万円

ここで大事なのは、これが「上限」だということです。たとえば授業料が年100万円の私立大学なら、上限70万円を差し引いた30万円は自己負担になります。「無償化」という言葉が独り歩きしがちですが、正確には上限つきの減免です。短期大学・高等専門学校・専門学校では上限額が異なるため、進学先の種別で必ず確かめてください。

「3人いれば全額タダ」ではありません。所得制限がないことと、上限額まで減免されること。この二つを分けて理解しておくと、期待とのズレが起きにくくなります。

2026年の変化①:きょうだいの「数え方」が広がった

ここが今回の本題です。多子世帯にあたるかどうかは、あなた(学生本人)を含めて「生計維持者が扶養する子ども」が3人以上いるか、で判定されます。従来は、一定の年収を超えて扶養から外れたきょうだいは、この頭数に数えられませんでした。

それが、令和7年度の税制改正で創設された「特定親族特別控除」を受けて、令和8年度の住民税を用いる判定から扱いが変わりました。具体的には、年収123万円超160万円以下の学生世代(おおむね19〜22歳、18歳の早生まれを含む)のきょうだいも、「子ども」としてカウントする対象に加わります(本人以外のきょうだいは別途申告が必要です)。

言い換えると、これまで「上の子がアルバイトや就労で少し稼いでいるから、扶養3人には届かない」と諦めていた世帯でも、その上の子が学生世代で年収160万円以下なら、頭数に戻ってくる可能性があるということです。数え方が一段ゆるやかになった、と受け止めてよいと思います。

2026年の変化②:2027年度進学の「予約採用」がいま動く

もう一つ、時期の話です。奨学金・減免の申込には、進学後に申し込む「在学採用」と、進学前に高校を通じて申し込む「予約採用」があります。2027年度に大学等へ進学する人の予約採用が、まさにいまの時期に動いています。

制度の説明では、2027年度進学の予約採用を申し込んだ人について、生計維持者の令和8年度住民税情報を参照し、「子ども」に数えられるきょうだいがいる可能性が確認できた場合は、申告用の書類の案内を郵送するとされています。案内が届いたら対応が必要になる、という流れです。つまり、まず予約採用の申込を高校の窓口で取りこぼさないことが、この支援にたどり着く入口になります。

見落としやすい二つの条件

数え方がゆるくなった一方で、外せない条件もあります。二つだけ挙げます。

ひとつは、「3人以上を同時に扶養している間」が対象だということ。第1子が就職などで扶養から外れ、扶養する子どもが2人になった時点で、多子世帯としての支援は終了します。上の子が卒業・就職する年に、下の子への減免が止まる場合がある——ここは家計の見通しに関わるので注意が必要です。

もうひとつは、資産の基準です。多子世帯にあたっても、本人と生計維持者の資産の合計が5,000万円以上3億円未満の場合、授業料等の減免は受けられますが、給付奨学金(返済不要の給付金)は0円になります。減免と給付は別の仕組みで、条件も別だと分けて考えておくと混乱しません。

いま、家庭でできること

サトスとして、次の一歩を三つに絞ります。

ひとつめは、2027年度進学の子がいる家庭は、予約採用の締切を高校で確認すること。予約採用は在学中の高校を通じた手続きが基本で、時期を逃すと入口でつまずきます。

ふたつめは、以前「3人に届かない」と判断した家庭こそ、数え方の変更を踏まえて再確認すること。学生世代のきょうだいが年収160万円以下なら、頭数に入る可能性があります。本稿は要点の整理にすぎないので、自分の世帯の該当可否は、必ずJASSOの説明と学校の窓口で確かめてください。

みっつめは、「無償」ではなく「上限つきの減免」として学費計画を立てること。上限を超える分の自己負担や、きょうだいの扶養が外れたあとの見通しまで含めて考えておくと、進学後に慌てずに済みます。制度は改正で変わり続けます。細かい数字を暗記するより、「どこで確かめるか」を家庭で共有しておくことが、いちばん確かな備えになると思います。

出典:日本学生支援機構(JASSO)「多子世帯支援について」(2026年6月30日更新、減免上限額・資産基準・「子ども」のカウント範囲・予約採用の取扱いを確認)ページ/文部科学省「高等教育の修学支援新制度」案内ページ/同「令和7年度からの多子世帯に対する大学等の授業料等減免について(減免上限額)」PDF。金額・条件の詳細と最新の取扱いは、必ず原典と進学予定校・在籍校の窓口でご確認ください。
EDITOR'S NOTE — サトス:制度の「大枠」は昨年から変わっていません。今回動いたのは、数え方という細部です。ただ、家計にとってはこの細部が大きい。数え方がひとつ変わるだけで、対象になる家庭とならない家庭の線が動くからです。私は数字の上限に目が行きがちですが、いちばん確かめてほしいのは「うちは3人に数えられるか」という一点。ここは推測で決めず、窓口で確かめる——そのひと手間を、どうか惜しまないでください。